Excel2016 の使い方

最終更新  2018.8.10


◆◆ Excel の基本概念 ◆◆

セルと呼ばれるデータを入れる箱が 2 次元の格子状に並んでいる。
セルの中に 1 個のデータが入る。

◆◆ セルの中のデータとその表示形式 ◆◆

◆ セルに入るデータの形式

主なデータ形式として「数値」と「文字列」の 2 つがある。
たとえば「abc」は文字列である。
「123」は「数値」の場合と「文字列」の場合の両方がありうる。

「123」入力したとき、「数値」になるか「文字列」になるか
どちらになるかは、次の「表示形式」による。

◆ 表示形式

「右クリック」→「セルの書式設定」→「表示形式」

「セルにデータを入力するとき」と
「セルに入っているデータを表示するとき」の
両方に影響を及ぼす。と

入力時

・標準:たとえば「abc」と入力すると文字列。「123」と入力すると数値
・数値:同上
・文字列:入力した文字をそのままセルに格納し、「文字列」とする。
     4/1 と入力すると勝手に日付に変更されるのを防ぐ

表示時

・標準 :中に入っているデータが「文字列」のとき左寄せ
     「数値」のとき右寄せ
・数値 :「標準」と同じ。ただし、数値を表示するとき、
     「小数点以下何桁まで表示するか」
     「3 桁ごとにコンマを打つか否か」など細かい指定ができる。
     右端に少し空白ができる
・文字列:左寄せで表示する

◆ 配置

「右クリック」→「セルの書式設定」→「配置」

以下のオプションがある
 v 折り返して全体を表示する
 v 縮小して全体を表示する

◆ Excel による自動変換

例えば、「標準」に設定されているセルに 4/1 と入力すると
表示形式が自動的に「ユーザー定義」になり、「4月1日」と表示する。

表示形式を「標準」「数値」「文字列」のいずれかに直すと
41730 という数値が入っている。41730 は Excel が独自に定義する形式において
4/1 を表す数値のようだ。

このような 4/1 → 41730 という自動変換を防ぐには
表示形式を「文字列」に設定しておく。

◆◆ セルへの入力 ◆◆

◆ オートフィル(補完)

セルを 1 個または複数個選択した状態で、
カーソルを右下の ■ に合わせると、カーソルが + になる。
その状態でドラッグすると、Excel が適切に判断してセルを埋める。

例えば

 1 2

となっていたなら

 1 2 3 4 

のように値を自動生成する。

数式が入っている場合は適切な数式が自動生成される。

オートフィル実行直後にアイコン  が現れる。
クリックすると何をコピーするか選択できる。
「書式なしコピー」を選ぶと罫線情報を保持できる。

◆ 貼り付け

「コピー」→「貼り付け」では思い通りの結果にならないことが多い。

「ホーム」→「クリップボード:貼り付け▼」→「形式を選択して貼り付け」
で貼り付けたい情報を選択する。

数式を貼り付けないで「値」を貼り付ける場合が多い。

◆「改行を含む文字列」をセルに入力する

Alt + Enter
数式バー (リボンの 1 つ下の行) を 2 行にしておくと確認しやすい。

◆◆ セルのサイズ ◆◆

幅は A B C と書いてある行の境界線をドラッグすることで変更可能。
「ホーム」→「セル:書式」で数値による設定が可能。

高さも同様だが、以下のアルゴリズムによって決定される。

  固定モード:
    設定された高さ。
    「折り返して全体を表示する」のチェックは無視される。

  変動モード:
    「折り返して全体を表示する」のチェック有りのとき、
    文字数によって自動的に高さが決まる。行間は指定できないようだ。
    チェック無しのときは設定された高さ。

  固定モードへ:境界線をドラッグ or 数値で指定
  変動モードへ:「ホーム」→「セル:書式」→「行の高さの自動調整」

◆◆ 罫線 ◆◆

「セルを右クリック」→「セルの書式設定」→「罫線」

あるいは

「ホーム」→「フォント:罫線」

◆◆ セルの枠線 ◆◆

印刷したときに引かれるのは「罫線」
ここでの「枠線」は Excel の画面上での表示のみに関係する。

枠線の表示 「表示」→「表示」→「枠線にチェック」

枠線の色  「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」
      「次のシートで作業するときの表示設定:枠線の色」

◆◆ 数式 ◆◆

◆ 数式

= を書くと数式とみなされる。例えば

   = A1 + A2

と書くと、A1 + A2 を計算した結果がセルに表示される。
大文字と小文字は区別しないので = a1 + a2 と入力してもよい。

◆ 絶対参照と相対参照

$ を付けると絶対参照になる

  = A1         A,1 ともに相対参照
  = $A1        A のみ絶対参照
  = A$1        1 のみ絶対参照
  = $A$1       A,1 ともに絶対参照

ドラッグして数式をコピーしたときの動作が異なる。
  ---> 絶対参照で指定した場所は不変
  ---> 相対参照で指定した場所はシフトする

◆ 参照範囲の表示

数式が入っているセルにカーソルを置き、数式バーをクリックすると、
数式中で用いたセルに枠が付いて表示される。

◆◆ 並べ替え ◆◆

「ソートしたい範囲を選択」→「データ」→「並べ替えとフィルタ:並べ替え」

◆◆ 表示範囲の設定 ◆◆

1 行目だけ常に表示する
  「表示」→「ウィンドウ:ウィンドウ枠の固定」→「先頭行の固定」

ウィンドウの分割
  「表示」→「ウィンドウ:分割」

特定の行 (列) の表示・非表示
  非表示:「行 (列) を選択」→「右クリック」→「非表示」
  再表示:「非表示にした行 (列) の両側の 2行 (列) を選択」→「右クリック」→「再表示」

◆◆ 印刷のための操作 ◆◆

◆ ページレイアウト

「ページレイアウト」→「ページ設定」の右下の ▲ をクリック

設定項目
  縦置き or 横置き
  拡大率
  上下左右の余白

◆ 改ページプレビュー

「表示」→「ブックの表示:改ページプレビュー」

ページ区切りの位置が表示される。マウスで点線をドラッグすると
ページの区切り位置を設定することができる。

このとき、ページレイアウトの設定項目である「拡大率」が
自動的に再設定される。

◆◆ 条件によってセルの色を変える ◆◆

「ホーム」→「スタイル:条件付き書式」→「ルールの管理」

例:60 未満のセルの塗りつぶしをピンクにする

「新規ルール」→「指定の値を含むセルだけを書式設定」

◆◆ 行と列を入れ換える ◆◆

「入れ換えたい範囲を指定」→「コピー」
→「形式を選択して貼り付け:行列を入れ換えるにチェックを入れる」

◆◆ グラフ ◆◆

◆ 作成

グラフ化したい範囲を指定して
「挿入」→「グラフの右下の△」→「すべてのグラフ」

範囲が長方形でないときは、2 個目以降の領域を Ctrl を
押しながらドラッグ。

(注意!)
最初の領域をドラッグするとき Ctrl を押してはいけない。
x 軸の値が設定されないので、正しくグラフが書けない。

◆ 良く使うグラフ

項目と値     縦棒  横棒  折れ線グラフ
xy座標値     散布図

x 軸と y 軸が逆のときは
「グラフツール:デザイン」→「データ:行/列の切り替え」

横棒グラフを描くとき、下から上向きに順番に並ぶ。
これを逆にするには「縦軸を右クリック」→「軸の書式設定」→「軸のオプション」
の「軸を反転する」にチェックを入れる。

◆ 設定の変更

変更したい場所を右クリック

(例)
軸の tics :「軸を右クリック」→「軸の書式設定」→「軸のオプション」→目盛」
目盛線    :「目盛線を右クリック」→「目盛線の書式設定」
折れ線グラフの線 or マーカー:
「線を右クリック」→「データ系列の書式設定」→「塗りつぶしと線」→「線 or マーカー」

あるいは
「グラフツール:書式」→「現在の選択範囲」で変更したい箇所を選択して
「現在の選択範囲:選択対象の書式設定」

◆ 文字の変更

「ホーム:フォント」or「変更したい文字を右クリック」→「フォント」

◆ 軸のラベル・グラフタイトル・凡例  などの追加/削除

「グラフツール:デザイン」→「グラフのレイアウト:グラフ要素を追加」

あるいは

「グラフ領域をクリック」→「右上の + マークをクリック」→
追加したいものにチェックを入れる

◆ 散布図や折れ線グラフにおいてマーカー(測定点にプロットする ○ 印)をつける

「グラフの線を右クリック」→「データ系列の書式設定」→
「塗りつぶしと線」→「[マーカー] をクリック」
  マーカーのオプション:形とサイズ
  塗りつぶし          :内側の色
  枠線                :外周線の色、太さ

◆ 系列名の変更

「グラフツール:デザイン」→「データ:データの選択」→「編集」

◆ 第 2 座標軸の追加

「系列を右クリック」→「データ系列の書式設定」
→「系列のオプション」→「使用する軸を第 2 軸に設定」

あるいは

「グラフツール:デザイン」→「種類:グラフの種類の変更」
「すべてのグラフ:組み合わせ」で第 2 軸にチェックを入れる

◆ グラフの種類の変更(ex. 折れ線グラフ → 棒グラフ)

1 つの系列を選択した状態で
「グラフツール:デザイン」→「種類:グラフの種類の変更」
系列ごとに「折れ線」「縦棒」など選べる。

あるいは

「グラフツール:デザイン」→「種類:グラフの種類の変更」
→「すべてのグラフ:組み合わせ」でグラフの種類を変更する

◆ データの追加

「グラフツール:デザイン」→「データ:データの選択」→「追加」
あるいは
「何らかの系列の上で右クリック」→「データの選択」→「追加」

◆ 系列を描く順番の変更

「グラフツール:デザイン」→「データ:データの選択」→「↑」or「↓」ボタン

◆◆ 関数(文字処理) ◆◆

LEFT(A1,4)             A1 の左の 4 文字を取り出す
RIGHT(A1,5)            A1 の右の 5 文字を取り出す
MID(A1,2,3)            A1 の 2 文字目から 3 文字取り出す

CONCATENATE(A1,A2)     セル A1 と A2 を連結する
A1 & A2                セル A1 と A2 を連結する

FIND("あ",A1)          セル A1 の中で最初に文字列 "あ" が現れる位置を返す
                       見つからない場合は #VALUE! となる。
LEN(A1)                セル A1 の中の文字列の長さを返す

TRIM(A1)               文字列の左右の空白を削除する
                       同時に、単語間のスペースが 2 個以上の箇所は 1 個にする

UPPER(A1)              大文字にする
LOWER(A1)              小文字にする

SUBSTITUTE(A1,"a","b") セル A1 の文字列の a を b で置き換える。
                       (A1," ","") と書くと空白除去に使える。 

◆◆ 関数における範囲の指定方法 ◆◆

(a) A2:A10         A2〜A10
(b) A1,A4,A5       A1 と A4 と A5
(c) A2:A8,A10:A14  A2〜A8 と A10〜A14

SUM 関数は (a)(b)(c) の全ての表現を使用可能
SUMIF 関数は (a) のみ使用可能

数式バーでクリックすると対象とするセルが色枠で囲まれる。

◆◆ 関数(カウント、合計、平均、標準偏差、順位など数学関係) ◆◆

◆ 個数を数える

COUNT(A2:A10)           数値が入力されているセルの個数を数える
COUNTA(A2:A10)          空白以外のセルの個数を数える
COUNTBLANK(A2:A10)      空白セルの個数を数える
                        COUNTIF(A2:A10,"") で COUNTBLANK の代用可
COUNTIF(A2:A10,">=0")   0 以上の数値が入っているセルの個数を数える
COUNTIF(A2:A10,"<=40")  40 以下の数値が入っているセルの個数を数える
COUNTIF(A2:A10,"○")    ○が入っているセルの個数を数える

◆  合計、平均、標準偏差

SUM(B2:B10)             合計を求める
SUMIF(B2:B10,">=0")     0 以上の数値が入っているセルの合計を求める

AVERAGE(B2:B10)         平均を求める。ただし文字列のセルは無視する。
STDEV.P(B2:B10)         標準偏差を求める。ただし文字列のセルは無視する。
                        標本データ = 母集団  を仮定している。
                        標本データ ⊂ 母集団  のときは STDEV.S(B2:B10)

◆ 最大、最小

MAX(A1,100)            A1 と 100 の最大値
MIN(A1:A20)            A1 〜 A20 の最小値

◆ 順位

RANK.EQ(A1,$A$1:$A$20)    A1 〜 A20 の中で A1 は何位か?  数値が大きい方が順位は上
RANK.EQ(A1,$A$1:$A$20,1)  数値が小さい方が順位は上

RANK.EQ と RANK.AVE は同点者がいるときに違いがでる。
例えば同点 10 位が 2 人いるとき
RANK.EQ( )  は 10
RANK.AVE( ) は 10.5

Excel 2007 までは RANK のみ。RANK と RANK.EQ は同じ

◆◆ 関数(IF) ◆◆

構文: IF( 条件式, 真のときの値, 偽のときの値)

(注意!) 文字列は "a" のようにダブルクォーテーションで囲む
     数値は囲まない。

     文字列 "0" と数値 0 は区別される。
     詳しくは「文字列と数値」の項を参照

◆ 文字列が等しいか否かを判断する

  IF(B2="○",0,10)        B2 が "○" のとき 0, そうでないとき 10
  IF(B2<>"○","a","b")    B2 が "○" でないとき "a", そうでないとき "b"

◆ 数値の大小関係を比較する

  IF(B2>=100,100,B2)      B2>=100 が真のとき 100, 偽のとき B2 の値
  IF(B2>=60,"○","×")    B2>=60 が真のとき "○", 偽のとき "×"

  大小関係の表現法
    B2 > 60    60 を超える
    B2 >= 60   60 以上
    B2 <= 60   60 以下
    B2 < 60    60 未満

◆ セルの中は数値?

    IF(ISNUMBER(B2), D2*D$23, 0)

◆ 複数条件

  IF(AND(条件1, 条件2, 条件3), 真のとき, 偽のとき)
  IF(OR(条件1, 条件2, 条件3), 真のとき, 偽のとき)

◆◆ 関数(丸め) ◆◆

◆ 数値の丸め

INT(A2)          整数部を取り出す(負の数のとき INT(-1.2) = -2)
ROUND(A2,1)      四捨五入して小数点第 1 位までの数にする
ROUNDDOWN(A2,0)  切り捨てて整数にする
ROUNDUP(A2,-1)   1 の位を切り上げる

※ 注意

ROUND 関数などで数値を丸めるのと
「セルの書式設定」で「表示形式」を「数値」にして小数点以下の桁数を
指定するのは、見かけは同じだが、セルの内容は異なる。

例えば、セルの書式設定で表示時に丸めたセルの値を足し算すると、

   1.5 + 1.5 = 2.9

という結果が起こりうる。なぜなら表示時に 1.45 ---> 1.5 という丸めが
行われているとき、表示される値は 1.5 だがセルの中身は 1.45 である。
1.45 + 1.45 = 2.9 という計算が行われ、結果は 2.9 になる。

◆◆ 関数(複合) ◆◆

関数の中に関数を入れることができる。例えば

=IF(B2="○",0,INT(E2))

  B2 が ○ のとき 0    そうでないとき INT(E2)

◆◆ セル(複数可能)に名前を付ける ◆◆

例えば、セル A1 に名前を付けて R と呼ぶことにすると、
絶対参照 $A$1 と書く代わりに R と書けるので、
数式が見やすくなる。

名前を付けたいセルを選択した状態で、名前ボックス(セル A1 の 2 行上)に
名前を入れて Enter を押す。

あるいは「数式」→「定義された名前:名前の定義」

「数式」→「定義された名前:名前の管理」で名前を付けたセルの一覧表を表示する

A1:A10 のような領域に名前を付けることもできる。

◆◆ 文字列と数値 ◆◆

セルの中に 13 のような数字が入る場合、「数値 13」か「文字列 "13"」
のどちらが入っているのか注意する必要がある。

「セルを右クリック」→「セルの書式設定」
  →「表示形式」:標準
  →「配置:文字の配置:横位置」:標準

に設定すると、文字列は左寄せ、数値は右寄せとなるので
判別可能である。

"13" + 1 ----> 14

のように、演算すると、文字列 "13" は数値 13 に変換されてから
計算が行われる。

=if("13">20,"yes","no")

のように、if の条件式の中では、「文字列」は
「如何なる数値よりも大きな数」として扱われるようである。
上の結果は "yes" となる。

文字列を数値に直したいときは

= value(A1)

のように value 関数を使う。

= A1 + 0  あるいは  = A1 * 1  のように
計算式を使って数値に直すこともできる。