概要

外観

クーラーなど赤外線リモコンで操作する電化製品を、 スマホで操作するための装置です。温度測定機能も付いています。 外観は以下の通りです。

100 円ショップで購入した食品用タッパに実装しました。 赤外線送信用 LED と温度測定用 IC が外に出ています。 中身は以下のようになっています。

「Raspberry Pi」「Arduino」「電子回路」が入っており、 配線されています。

タッパに穴を開けたりするのに ボール盤かハンドドリルが必要です。 それが面倒な人は、以下のように、木の板に実装することもできます。 木ねじでとめています。

木の板に実装

以下の既製品を使っています。

電子回路は「ブレッドボード上に作る」か 「ユニバーサル基板上に作る」の 2 つの方法があります。 耐久性はユニバーサル基板上に作る方が勝りますが、 製作速度と難易度はブレッドボード上に作る方が勝ります。

木の板に実装する場合、ブレッドボードの方がお薦めです。 タッパに実装する場合はどちらでもよいです。

必要な道具と材料

用意する道具

タッパに実装する場合、上記に加えて以下の道具が必要です。

購入する部品

回路図と動作原理

回路図を以下に示します。温度計測機能が不要な場合、 温度測定用 IC である LM35 とその配線である赤線部分は不要です。


クリックすると PDF が見れます。

Raspberry Pi(以下、ラズパイと略すことがある)上で Web サーバ(と同等のもの)を動作させ、 スマホから Wifi 経由でアクセスします。

ラズパイと Arduino はシリアル通信(USBケーブル経由)で 双方向の通信を行います。Arduino への電源供給もこの USB ケーブル で行います。

「ラズパイの Gnd と Arduino の Gnd を結ぶ線」は 「ラズパイと Arduino が USB ケーブルで結ばれていない状態でも Gnd の 電位を合わせるため」にあります。この回路においては不要ですが、 将来拡張したときに、Gnd レベルの不一致により、 予期せぬ場所に電流が流れるのを防止します。

ラズパイはスマホからの司令に従って、 Arduino に「送信するリモコン信号」を送ります。 Arduino はそれに従って赤外線 LED を on/off し、 エアコンなどを制御します。

回路部品の定数は以下のように決めました。

赤色 LED と 470Ωの抵抗はエラー発生時の インジケータなので、省略可能です。 赤色 LED の順方向電圧は約 2 V です。 赤色 LED を流れる電流は ( 5V - 2V ) ÷ 470 Ω ≒ 6 mA です。 3 mA 以上で十分明るいので、560 Ω, 680Ω などでも良いでしょう。

赤外線 LED は、今回私が使った TLN115A は最大 100 mA まで 流せます。赤外線 LED の順方向電圧は 100 mA のとき約 1.4 V です。 「トランジスタが on のとき、コレクタ−エミッタ間電圧は 0 V」 と仮定すると、

( 5 V - 1.4 V ) ÷ 100 mA = 36 Ω

となります。近い値として 33 Ω を選びました。

実際に組んだものを測定すると、 電源電圧は 4.6 V、コレクタ−エミッタ間飽和電圧は 0.1 V 程度 でした。このとき、30 Ωでコレクタ電流が 100 mA となりました。 より多くの電流を流したいとき、30 Ωにすると良いでしょう。

トランジスタは 2SC1815 を使いました。 2SC1815 のデータシートを見ると、 コレクタ電流が 30 mA を超えると電流増幅率 β が 大幅に落ちます。Ic = 100 mA, Vce = 1 V のとき β = 80 となっています。

飽和状態(理想的には Vce = 0V) となるとき、 さらに β が落ちることが予想されます。 1 個の 2SC1815Y を測定したところ、on のとき、 Vce = 0.25 V, Ic = 92 mA, Ib = 3.7 mA となりました (オシロの画面を目で読んだ電圧から求めた値なので 大体の値です)。 このとき β = 25 です。 トランジスタが飽和するベース電流を流すため、ベースに接続する 抵抗は 1 kΩ に設定しました。

「ベース電流が流れるとき、ベース 〜 エミッタ間電圧は 0.7 V」 と仮定すると、ベース電流は

( 5 V - 0.7 V ) ÷ 1 kΩ = 4.3 mA

と見積もれます。β = 25 と低めに仮定すると、 4.3 mA × 25 = 107 mA > 100 mA なので、 飽和状態となります。

470 uF のコンデンサは、電源電圧の 安定化のためにあります。この 470 uF という 値は十分すぎるほど大きな値です。 220 uF や 100 uF でもよいでしょう。 省略しても恐らく問題ないと思いますが、 安心のために入れてあります。

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